もともとは、資金不足で十分な給料が払えないアメリカのベンチャー企業で、現金の代わりに社員に与えられた。
ストック・オプションを与えられた社員は、会社が儲かって株価が上昇すれば、あらかじめ決められた安い価格で株を購入して、その株を市場で売却することによって利益を得られる。
従業員と出資者の利害の対立は、儲けの分配だけに留まらない。
実は、従業員は、現金で与えられる報酬の他に、喫茶店を通過するモノやカネの流れを支配する。
その程度ならご愛橋だが、日本では、女性タレントがニコニコしているだけのテレビ・コマーシャルをよく見る。
特に、銀行など横並びで、どの銀行のテレビ・コマーシャルかわからなくなるほどである。
ああいうコマーシャルは、広報担当者がそのタレントに会いたいから作っているとしか思えない。
つまり、莫大なカネが広報担当者の助平心を満たすために浪費されているのである。
アメリカでは、ああいう内容のないテレビ・コマーシャルは見たことがない。
必ず、「うちの銀行は、他の銀行と比べてこういう点が優れている」というメッセージが込められる。
日本でも、外資のAは、そういうアメリカ的なテレビ・コマーシャルを流していた。
その違いはどこから来るか。
テレビ・コマーシャルの製作、放映には莫大なカネがかかる。
もし、目に見える業績の向上が現れなかったら、アメリカでは、広報担当者は間違いなくクビを切られる。
だから、日本のように、好みのタレントを使って内容のないテレビ・コマーシャルを作るわけにはいかない。
テレビ・コマーシャルといえども、真剣勝負なのである。
ネット・バブルのころ、2社ほど、テレビ・コマーシャルを流した。
派手好きの日本人が本社の反対を押し切ったのであろう。
目に見える効果が現れるはずもなく、1年も経たないうちに放映されなくなった。
担当者は、クビを切られたはずである。
従業員にとっては、会社は、賃金を得るだけの場所ではない。
1日の大半を過ごす、自己実現を目指す場所である。
その自己実現が会社の業績と一致すればいいのだが、対立することが多い日本に進出している外資の証券会社は、原則としてテレビ・コマーシャルを流さない。
外資の顧客はプロの機関投資家だから、一般大衆向けの広報活動にカネをかけるのは割に合わないので理論的には、株主、従業員、取引先の利益は鋭く対立する。
その利害の調整をコーポレート・ガバナンスという。
直訳すれば企業統治である。
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